Unknown@Presence

色々あれこれ。

運動会の思い出は放送部へと転生したのだった。

今週のお題「運動会」

ネット接続が設定ごとなくなる現象が起こるのでプロバイターとチャットしたら電話してって言うので電話したら繋がらなくてブロクでも更新するか、の日曜日。


運動会ね。はい。スポーツは苦手だったのでいつも応援でした。

体は弱かったけど気は強いので、負けると分かっててもちゃんと走りましたよ。しんどかったけど。いつもビリだった。
痩せて体が軽かったので鉄棒や跳び箱はできたし、マット運動もまあまあだった。逆上がりも友達に特訓してもらった。水泳は父親が水泳選手だったのでしゅっちゅうプールやら海やらに連れて行ってもらってたのでまあまあ泳げました。球技は苦手でした。特に投げるのが苦手。
そしてとにかく走るのが遅かった。特に短距離。いじめっ子(私がいじめられたのではなく他の子をいじめた場合ね)に逃げられたら絶対に追いつかないので、まず言葉で叩きのめそうとしていましたっけ。
そんなこんなで運動会ではヒーローになれなくて、でもって中学の時は運動会で全員でダンスしなきゃいけなくて。それも裸足で。中学の時は部活動でバイオリン弾いてて、それなのに髪まで砂埃だらけになるので本当にうんざりでした。どうして裸足でしなきゃならないのか、先生に詰め寄ったら、裸足の方が綺麗に見えるからだって言われました。
で、そんなある日。私は押しピンを踏み抜きました。上履きに入っていたのだったか、教室でうっかり裸足になったからか、どっちか忘れましたがとにかく踏み抜いたので、本番のダンスには出られなくなりました。
あいつ、わざと押しピン踏んだんじゃないか。って、心の中で呟いた奴、いたと思う。私もそう思った。ダンスしなくていい、ラッキー。
でも、わざとじゃなかった。ダンスもスポーツも大嫌いだけど、私はそういう人間じゃない。というか、そういうタイプの知恵はない。
で、運動会当日。ダンスに出ない代わりに駐車場の整理をやらされました。足はまだちょっと痛くて、車の排気ガスも苦手だったけど、しょうがないので渋々駐車場に行きました。
そしたら、一学年下の男子を紹介されました。一緒に車の誘導をしなさい、って言われました。小柄な彼はとても礼儀正しくて、ちゃんと挨拶してくれました。私は挨拶したっけか。・・覚えてない。
車の誘導ってどうしたらいいんだろう。立ち尽くしていたら、彼がさっと駆け出して、両手を広げて「こちらへどうぞ」って大きく朗かな声を出しました。
かっこいい。ああするんだ。
私は彼の斜め後ろで、恐る恐る手を広げていました。ちゃんと声を出せたか、挨拶できたか、全く覚えていません。
それで、高校になったら放送部に入ろう、って決めました。部活動でオーケストラをしている高校はなかったし、どのみち楽器はもういいかなーと思っていたので、音響機器を触れる放送部に入ろう、って決めました。
そしたら、私は人の役に立てる。
走るのは遅いし、ちゃんと挨拶したり誘導したりなんてできないけど、機械は得意。人前で話すのも得意。挨拶できないくせに弁論はできる。原稿も書ける。
中学に入学した時、あまりに足が遅いのでちょっとは早くなりたいと思って、一瞬、陸上部に入ろうとしてました。でも同学年に足が速くて勉強できて性格良くてっていうのが3人もいたので、諦めた。陸上部は本当に仲が良くて、ドロドロとした器楽部とは大違いだった。
でもなんでも途中で放り出すのは嫌いなので、器楽部には三年在籍しました。そこにも努力家がいて、練習嫌いの私は結局あまり目立たなかったのですが。
卒業式の日。三年生は運動場で最後の演奏を披露することになっていて、バイオリンのケースさえ重かった私は三年分のうんざりと一緒に運動場に向かってました。
そしたら、クラスメートに声をかけられた。
あれっ、あんた陸上部じゃなかったの。いつもクラスで陸上部の子と喋ってるから。
はい。三年間バイオリン弾いてました。放課後に運動場にいることなんてなかったですよ。いつも音楽室にいたですよ。
でも、ちょっと嬉しかった。
痩せているけど太腿だけしっかりしていて、中学に入学した時に「あんたはきっと足が速いから陸上部に入りなさい」って体育の先生に言われたけど、周りの友達が「こいつは見掛け倒しで足だけは遅い」ってフォローしてくれたことがある。いや、フォローじゃねえな。
そんな私のことを陸上部だって思っててくれた友達がいたのが嬉しかった。仲のいい陸上部の一員だと思われたのが、嬉しかった。
高校では放送部。やっぱり引き続き運動は苦手で、でも放送部なので機材の設定という仕事があった。スピーカー運んだりするの楽しかったな。
大人になってあの頃から体重が20キロ近く増えて、運動会に出なくてよくなって、心底ほっとしている。得意なことを好きなだけしていられる、大人になった。
そして時々、駐車場を駆け回っていた小柄な彼のことを思い出す。彼は楽しそうだった。
私はそういうことは得意じゃないけど、得意なことは他にあって、それを見つけることはできるんだってこと、彼に教わった気がする。