Unknown@Presence

色々あれこれ。

納豆は食前酒。

今週のお題「納豆」


関西人なので納豆は苦手なはずだが、子供の頃から食べていた。

卵と砂糖、ちょっとだけ醤油を垂らして、時々アサツキなんかも散らしてもらって、飲み込むようにして食べていた。
「そんな臭いもん、よう喰うなあ」。私が納豆をかきこむたびに、正面に座った長崎県出身和歌山県経由兵庫県育ちの父がしかめっ面するのも楽しみだったが、そもそも柔らかくて甘い納豆が大好きだった。
食が細くて内臓が弱かった私は、いつも他の家族より一品多かった気がする。納豆はもちろん、鷄肝の煮付けも私しか食べていなかった。父の晩酌のつまみのオバケ(鯨肉の脂身の酢味噌和え)をもらっていたのも私だけだったし、缶詰のスープを温めて食べていたのも私だけだった。そういえばキムチの素を買ってきて食べていたこともある。
妹たちと歳が離れていたこともあったけれど、おやつは母が作ってくれたり自分で作ったものがほとんどで、納豆もおやつのようなものだった。


食べられるものはみんな美味しいのだ。そう思っていた。
だから父方の祖母は、缶詰のホワイトアスパラガスを私に食べさせてくれた。

「あんたはこういうもの好きやろ」。例によって父はしかめっ面で、それは祖母と血の繋がらない父のヤキモチもあったのだろうけれど、けれど私はめったに会わないのに少食だけれど何でも好き嫌いなく食べる私を理解してくれたのが嬉しくて、そして初めて食べるとろんとしたアスパラガスも好きになった。
白いアスパラガスは、16世紀イタリアのある村で飢饉に苦しんだ人々が偶然掘り出したものだというのが有名らしい。今でも飢饉から村を救ってくれた白いアスパラガスに感謝するお祭りがあって、みんなで美味しいアスパラガスをいっぱい食べるんだそうな。


納豆はどうやって作られたのだろう。発酵食品のほとんどは、冒険心と好奇心と勇気のある人が、色や匂いや形が変わってしまった食べ物を口にしたことから始まったのだろう。
それで命を落とした人もいるだろうけれど、それで命を永らえた人、健康を手にした人もいて、様々な発酵食品が世界中で生まれた。
タンパク質を分解してアミノ酸にすると美味しいのはもちろん、分解しやすいので体への負担が小さくなる。日本は国土が狭くて動物タンパク質が取りにくいので、昔から昆虫などで補充していた。蜂の子は珍味だし、イナゴもよく食べられていた。
九州大学で、カイコを使ったワクチンを開発中という。カイコのサナギは、韓国では鉄分補給にとよく食べられていたらしい。アジアの人々がウイルスに強いのは、もしかしたら長年昆虫を食べてきたからかも。